「一期一会のこころ」癒しのBOKUSEKI-ART

相国寺 有馬頼底 管長 「喫茶去」

  

「全国有名寺院高僧名僧直筆墨蹟」は、それまで実施されていたNPO法人夢・同人から令和3年4月1日に移譲を受けてNPO法人文華舎が実施させていただいているものです。

もともとはNPO法人夢・同人の前身である任意団体「夢・同人」が始まりです。それは歌人であり、幕末大老の井伊直弼氏のお孫さんで彦根市長を九期お努めになった井伊直愛氏夫人でもあります井伊文子さん(共に故人)や相国寺有馬賴底管長さんらを呼びかけ人代表として平成6年(1994年)に発起され、平成7年(1995)1月22日に井伊家邸宅にて、重度障害児(者)の療護施設の建設支援などを目標に第一回例会が行われると同時に正式に設立されたのです。

井伊文子さんとは、琉球王朝最後の王尚泰のひ孫さんとして、第二次世界大戦で傷ついた沖縄を憂い、また、ご本人も結核や心臓病など重い病にさいなまれた経験から、真の平和と豊かな福祉の実現に、その生涯をそそがれ、病気療養中には膨大な書物の点字翻訳に従事され、回復後は沖縄県内の高校生の就学支援目的で『佛桑花の会』や重度知的障害者施設『止揚学園』(滋賀県東近江市)、重度身体障害者療護施設『湖北タウンホーム』など数々の慈善事業、社会福祉施設の設立に寄与された方で、その福祉活動の一つが夢・同人でありました。「夢・同人」設立後には、チャリティーコンサートや狂言会や寄席、食事会などが積極的に行なわれ、会の趣旨を一般にアピールし、かつ、会費や収益の一部を当初の目標であった重度障害者が安心して暮らせる施設の建設資金に充当して参りました。 

そのような経緯の中、収入の柱にと、平成8年 (1994年) に井伊文子さんの文化人ネットワークにご協力を呼びかけ、全国の高僧・名僧にご揮毫のお願いをさせていただきましたのが、当法人の墨蹟事業のはじまりでございます。そのお願い趣旨は、井伊文子さんの活動信念でもあります「社会貢献」であり、重度身体障害者療護施設建設支援の目的にご協力を賜りたいというものでしたが、大手企業でもなく、有名団体でもない、一草の根団体の呼びかけに対しまして、結果的に二十九寺院の高僧から、貴い墨蹟を賜ることができました。このことは、現在のチャリティー墨蹟活動の誇りとなっています。令和4年3月現在においてご恵贈いただいた社寺仏閣数が約160社寺、御恵贈者様が約180名という誉に授かっています。

長年にわたりチャリティー墨蹟事業に携わってきました認定NPO法人夢・同人(令和4年解散)が、令和2年度に墨蹟事業からの撤退が決定したのを受け、初期の故・井伊文子さんの福祉と文化の社会貢献の思い、そして引き継がれてきた墨蹟文化の灯りを消さないためにも、有志が立ち上がり、令和3年4月1日よりNPO法人文華舎が円満に同事業の移譲を受け今日に至ります。

ご揮毫いただきました墨蹟は高僧ご真筆であり、この世に二つとはありません。福祉や平和など、人の心の安泰を願った作品の数々は、この殺伐とした現代にこそ、本当に必要なものの一つであり、家庭や職場、多くの人が集う処々に掲げ、見る人の心に何かしらの好影響を与えるものと信じて、これからも活動を継続して参りたいと存じます。

まだまだ未熟な点は多々あるかと存じますが、是非とも、NPO法人文華舎の墨蹟事業にご理解・ご協力を賜りたく、ここにお願い申し上げます。

令和3年4月1日(法人設立日)

特定非営利活動法人 文華舎

代表理事  細溝高広