田中清貴 漆アートパネル
滋賀県大津市でびわ湖の見える工房で木芸作品を制作されておられる「まれびと工房」の田中清貴さんは京都御所に呉服・御道具・工芸品などを収める仕事をされていたお祖父さまと木芸家のお父さまを祖にもつ三代目の木芸クリエーターです。

高校で漆を学ばれ、専門学校で木工の基礎技術を学ばれ、そして町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミーにてインテリアを学ばれた田中清貴さんは創作活動に励まれ、2000年ぐらいから百貨店の美術画廊にて個展を始められました。当初は家具や茶道具作品が作品の中心となりましたが、自身の作品をもって社会にお役に立ちたいと創作された「総桐ベンチ」が評価され、工芸の世界ではめずらしく大ヒット作品となりました。
漆×木工×インテリア=生活に密着するアート作品。このコンセプトはその後も多くの作品を生み、全国各地の個展会場では賑わいを見せました。




そして2020年ごろに起きた新型コロナパンデミックを機に自身の今までとこれからを見つめなおし、「全てを美しく表現するために、デザインは『シンプルで普遍的』であること。シンプルにこだわるのは木目の美しさもさることながら、木の温もりや存在感、やさしさを損なわないため。そして、普遍的が不可欠であるのは『いつの時代でも、どこの地域でも、誰にでも』使いやすいという大原則があるからです。目指すところは『なんだか良いな、なんだか愛おしいな、手元に置いておきたいな』と感じることのできる、物にたとえられない・言葉にできない、言うなればそんな気持ちであり、物でありながら物ではない技術の向こう側をお客様とともに作りあげていくために、これからも活動していきたい」と、決意も新たにrestart(再出発)されました。
そうして発表された作品が『漆アートパネル』です。
どれも田中清貴オリジナルデザインでシンプルにウッドパネル(木板)に漆を塗られた(描かれた)漆作品ということでややもする工芸品のカテゴリーにされがちですが、もうこれは立派なアート作品であります。
ご本人は自身のことを「絵心ない」とおっしゃっていますが、『漆アートパネル』発表後、さらに個展ごとに新作を発表され、ご覧になる方の心を和ませ、お買い上げされたお客様からも信じられないくらいの喜びの声をお聞きしています。
参考 名鉄百貨店 めいてつアートストリート 2025.05.28-06.03. 田中清貴漆工芸特集
田中清貴さんのご作品は重くなった心をちょっと軽くする不思議な効用があるように思います。それを癒しというのかもしれませんが。もし先生のご作品をご覧になる機会があるのなら是非とも行ってみてください。心からのおススメです。よろしくお願いします。






